10万円のゲーミングPCを自作した話——初心者がハマった落とし穴

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「自作PCって難しくないの?」と聞かれるたびに、「難しくはないけど、落とし穴は多い」と答えるようにしている。

去年の夏、10万円の予算でゲーミングPCを組んだ。RTX4060とRyzen5 7500Fの組み合わせ、2024年現在のコストパフォーマンス最強クラスの構成だ。結果的には満足しているが、組み立て中に3回は「失敗したかも」と思う瞬間があった。その話を全部書く。

構成と予算の決め方

最初の壁は「パーツ選び」だ。何から決めればいいかわからなかったので、まずCPUとGPUから絞ることにした。「ゲームには8万円まで、他のことにも使えるPC」という要件で、価格.comとユーチューブの自作PC動画を3日間見まくった。

最終的に決めた構成がこれだ。

パーツ 製品名 購入価格
CPU AMD Ryzen 5 7500F 22,980円
GPU ZOTAC RTX4060 8GB Twin Edge OC 39,800円
マザーボード ASRock B650M Pro RS WiFi 14,780円
メモリ Crucial DDR5-4800 16GB×2 8,200円
SSD WD Black SN770 1TB 7,980円
電源 Corsair RM750e 750W 80PLUS GOLD 10,980円
ケース Fractal Design Pop Air 7,480円
CPUクーラー DeepCool AK400 2,980円
合計 115,180円

当初の予算10万円を1.5万円オーバーした。理由は後述する。

Ryzen5 7500Fを選んだ理由

Ryzen5 7500Fはグラフィック機能を省いた(内蔵GPUなし)モデルだ。その分、同クラスのRyzen5 7600より4,000円ほど安い。「どうせ外付けGPUを使うから内蔵GPUはいらない」という判断で選んだが、これが後で問題になった(後述)。

Core i5-13400Fと迷ったが、CinebenchのマルチコアスコアでRyzen5 7500Fの方が高かったのと、AM5プラットフォームの将来性に賭けた。AM4みたいに長く使えれば後でCPUだけアップグレードできる。

RTX4060を選んだ理由

フルHD(1080p)ゲームメインで、VRAMは8GB、価格は4万円以内という条件で絞るとRTX4060一択だった。RTX4060Tiにすると約5万円になり、予算を大幅に超える。

「RTX4060はVRAM8GBで将来性がない」という意見もある。でも1080p・60fps前後のゲームなら、2〜3年は現役だろうという判断をした。

組み立て中に起きた3つの失敗

失敗1:CPU取り付けでピンを折りそうになった

Ryzen(AMD)のCPUはマザーボード側にピンがある構造だ(インテルとは逆)。CPUをソケットに置いてレバーを下げるだけなのだが、このとき力加減を間違えてCPUがズレた状態でレバーを下げようとした。

ガリッという音がした。心臓が止まるかと思った。

確認するとピンが1本わずかに曲がっていた。細い精密ドライバーで恐る恐る戻し、なんとか正常に取り付けできたが、あの5分間は生きた心地がしなかった。CPUの取り付けは絶対に力で押し込まない。スッと入らなければ向きが間違っている。

失敗2:電源が入らなかった(2時間悩んだ)

全パーツを組み込んで、さあ電源を入れようとしたら……無反応。ファンも回らない、LEDも点かない。完全な死。

考えられる原因を一つずつ潰していった。電源ケーブルの接続確認、CPU電源コネクタの確認、マザーボードの電源コネクタの確認……全部正常に見える。

2時間後、原因がわかった。ケース付属の電源スイッチ(フロントパネルのコネクタ)の挿し込み位置が1ピンズレていた。マザーボードのマニュアルをちゃんと見ていなかった僕のミスだ。フロントパネルコネクタは必ずマニュアルの図と照合する。

失敗3:Ryzen5 7500Fで画面が映らなかった

これが一番焦った。電源は入った、ファンも回っている、でも画面が真っ暗。

調べてわかったのが、Ryzen5 7500Fには内蔵GPUがないため、OSインストール前の初期起動でもGPUが必要ということだ。つまり「GPUを挿す前にBIOSを確認しよう」という手順が通用しない。

さらに、GPUを挿した状態で起動しても映らなかった。原因はマザーボードのBIOSが古くてRyzen5 7500Fに未対応だった。B650マザーはRyzen7000シリーズ対応なのに、製造時期によってはBIOSアップデートが必要なことがある。

解決するには「BIOSアップデート用に内蔵GPUつきのCPU(友人から借りる等)か、BIOS FlashBack機能」が必要だった。ASRock B650M Pro RSにはBIOS FlashBack機能があり、USBメモリに最新BIOSを入れて電源を入れるだけでアップデートできた。これで無事起動。予算10万円を超えた原因はこのトラブル対応でかかった費用ではなく、最初のパーツ選びで深く考えなかった部分(マザボの在庫がなく割高なものを買った)だが、このトラブルで丸1日潰した。

ベンチマーク結果

組み上がってWindowsとドライバをインストールした後、いくつかのベンチを回した。

  • 3DMark TimeSpy:9,847点(RTX4060の典型的なスコア、RTX3070相当)
  • Cinebench R23 マルチコア:14,780点(Ryzen5 7500Fとしては標準的)
  • FFXIV暁月の終焉 ベンチマーク:最高品質1920×1080で18,243点(非常に快適)

実際のゲームでのフレームレートは以下の通りだ。

ゲーム 設定 平均fps
Apex Legends 1080p 最高画質 約140fps
Cyberpunk 2077 1080p ウルトラ(RT無し) 約75fps
エルデンリング 1080p 最高設定 60fps安定(上限60のため)
Valorant 1080p 最高画質 約220fps

想定していた通りの結果だ。Cyberpunk 2077のレイトレーシングを使うと30fps台に落ちるが、それは想定内。フルHD・高設定なら1080pのゲームはほぼ快適にプレイできる。

自作PCをやって気づいたこと

BTOとのコスト比較

同等スペックのBTOパソコンをドスパラで見ると、約12〜13万円の価格帯だ。自作より2〜3万円高い。その差額が「自分で組む手間賃」と考えると自作のメリットはある。

ただし、トラブル対応や調査に使った時間を時給換算すると……考えないことにしている。

初心者が自作する場合の注意点

  1. マザーボードのBIOS対応CPUを必ず確認する:メーカーサイトのCPU対応表を見ること。「AM5対応」だからといって最初からRyzen7000全モデルが使えるわけではない
  2. 内蔵GPU非搭載CPUは初心者向けではない:トラブル時にBIOS画面にすら入れない
  3. フロントパネルコネクタはマニュアル必読:ここでつまずく人が多い
  4. 静電気対策を真剣にやる:組み立て前に金属に触れる、可能なら静電気防止リストバンドを使う

まとめ:初心者は自作すべきか

正直に言う。初心者がゲーミングPCを「今すぐ欲しい」なら、BTOを買った方がいい。トラブルが少なく、保証もある。

でも「PCの仕組みを理解したい」「後でパーツを換装したい」「コスト削減したい」という気持ちがあるなら自作は最高の体験だ。僕は今回の経験で、少なくとも次の換装(メモリ追加やGPUアップグレード)は怖くなくなった。

10万円の投資で、ゲームと知識の両方を得た。悪くない買い物だと思っている。

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